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意味が分かれば怖い話! *。

第25章 最上階

仕事から帰り、風呂上がりのビールを飲んでいるとき、今日も上の階の子供達が騒いでいる。
引っ越してきてから毎日だ…。

下の階にも聞こえる声と足音は尋常じゃない。
親はどういうしつけをしているんだ。

何度も注意しに行こうとしたが、妻がその度に私をとめる。

「いつか私達に子供ができたら、きっと元気一杯よ。世の中お互い様だわ。」

と、先月結婚したばかりの妻。
彼女は大学時代から付き合いはじめ、8年目でゴールイン。

いつも人のことを気づかい、とても優しい自慢の妻だ。
かく言う私も最近昇進が決まった。

それらを機に買ったこのマンション。
妻がどうしてもここが良いと言うのだ。

新築で広さは4LDKで最上階。
見晴らしも良く、子供が生まれても十分だ。

実はこのマンション、3年前の建築開始当初から私も目をつけていた。
どうせ住むなら特快の停まる駅徒歩3分のうえ、周りには公園やショッピングモールがある。

建築会社が願掛けを重視するのか、何度も神主さんを呼んでお祓いの儀式みたいな事をしているのを見たことがある。
それだけしっかりした建築会社なら安心だ。

偶然のごとくこのマンションの情報を彼女に見せた時のあの嬉しそうな顔…。
彼女がこんなにも喜ぶとは思わなかった。

上の階の住人の件以外平和に暮らせている今、このマンションにとても感謝している。

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