ふたり、溺愛中
第7章 キスだけじゃ、我慢できない…っ
「じゃあ、そろそろ行ってくるね」
お昼になる、ちょっと前の時間だ。
思ってたよりもずっと遅い出勤時間に、私はパタパタと玄関まで送りでた。
「行ってらっしゃい!
お仕事、頑張ってね」
「ありがとう。
…そうだ、優ごめんね。結局、どこにも連れて行けなかったね」
「えっ
そんなの、全然気にしてないよぉ!」
近場でもいいから、ふたりでどこかに行こうって話は確かに叶わなかったの。
でもそれは仕方ないわけだし、別に悲しいとかそんなわけでもない。
「悠さんとずっと一緒にいられたから、じゅうぶん幸せだったよ」
「ありがとう。僕もだよ。
でも、いつか必ずふたりでどこかに行こうね」
「ん…………」
優しく腕をまわして抱きしめられたかと思うと、そっと唇を塞がれた。
優しくって、甘い甘い、悠さんのキス。
こんなにも、私は幸せでいていいのかなぁって。
そう思えるくらい、悠さんのキスには不思議な魔法を感じるの。
「じゃあ、行ってくるよ」
「うん、行ってらっしゃい。
気を付けてね」
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