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ふたり、溺愛中

第9章 紫のスーツの彼は

(…………………!)



ふわり

私の頭に、あたたかい手のひらの感触を感じた。


悠さんの手だ。







「…ただいま、優」



触れた手が、そのまま私の頭を撫でてくれた。


優しく、愛でるように、優しく。







(ただいまって、私はおかえりって言わなきゃなのかな。
悠さん、私が起きてるの気付いてるの!?)





すると私の顔にかかった髪を払うように頬を撫でると、悠さんはそのまま私の唇に触れた。





「…よく寝てる。
今日も寂しかったね。
ごめんよ、優…」


「ん…………」




顔にかかる悠さんの息で、唇に触れた柔らかいものが何なのか気付くのに時間はかからなかった。


私、悠さんにキスされてる…っ!









「…ふふっ おやすみ、優。
良い夢を見なよ」





そう言うと、そっとベッドルームから出ていった悠さん。







「悠さん…っ」




…寝てる私にキスをしていたって言ってたけど、本当だったんだね。




でも、キスをした時に僅かに鼻に感じた、化粧品の香り。



多分、女の人と抱き合った時に付いたものだと思う。







ねぇ悠さん。
私、どうしたらいいの?










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