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あいつとわたし

第1章 あいつとわたし

 私、大城 明矢香(オオシロ アヤカ)十二歳。今年、西南(セイナン)中学に入学した。

 入学式は、いいと思った。でも私は、その後にとんでもなくひどいことになるとは、思ってもみなかった。

 私の左斜め前の"あいつ"は眼鏡の奥に潜む真面目そうな瞳で真っ直ぐ、前を見つめていた。何か遠くを見るように……。

 私は"あいつ"に

「何を見ているの」
と聞いた。

 すると……

「朝木(アサキ)先生を待っているのです」

 という真面目な返事が返ってきた。

 もう返す言葉がなかった。

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