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今宵もネムリヒメに素敵な夢を...♡

第2章 バレンタインの事情♡その①





「…………」


確実に間違えた。

舞い降りたのは救世主じゃなかった。


帰宅したのはなぜか恐ろしいほどにエロスの化身と化した渚くん。

昨日の夜帰ってこなかった彼はほぼ徹夜だったんだろう…眠くて気だるそうな雰囲気だ。

きっとそのせいなんだろう。彼を取り巻く艶オーラがいつもより濃いのだ。目眩の原因は間違えなくこれである。

そんな渚くんはアタシの姿をソファーに見つけると、大声でギャーギャーと騒ぎ声をあげるオトコふたりは完璧に無視で、こちらにやってくる。

そして、コートを脱ぐ間もなくアタシを腕のなかに閉じ込めた。


「千隼…」

「お、お帰り…なさい」


なにをそんなに意識しているのだろうか…

いやいや、帰宅早々にただならぬ色気炸裂とか意識しない方がおかしいだろう。おかげで変に声が裏返るアタシ。


しかし、彼はそんなアタシを物ともせず、腕のなかに閉じ込めたままコートのポケットから何やら手のひらサイズの小箱を取り出す。

そしてアタシの手の上にのせると、グローブをはずして箱のリボンを解いた。


「………!!」


う…わ……

彼が指先でそっと持ち上げたのはピンクゴールドの華奢なチェーンに大粒のひと粒ダイヤが光るネックレス。

驚くアタシに渚くんは軽く微笑むと、胸の上に石を乗せてチェーンを首の後ろで止めてくれる。


「ん…似合ってる」


石を指先で揺らして頬笑む渚くん。




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