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今宵もネムリヒメに素敵な夢を...♡

第6章 風邪なんてオレにうつしてさっさと治しちまえよ♡ver.渚





───…




「…渚くんの貴重なお休み、もう終わっちゃうね」

「あぁ、朝起きて早々に誰かサンに即行台無しにされたけどな」

「ぅ…、ゴメ…」

「お前じゃないよ」


それから、そんな会話がふたりの間に交わされたのは、空になった今日二杯目のホットミルクのカップがベッドのサイドボードに置かれる頃のことだった。


「もしかして、根に持ってたりする?」

「………ん?」

「その…明智さん」

「…さぁ、どうだと思う?オレ的にはそれはそれで面白そうだから、そういうことにしとくのもいいと思うけど…」

「へ…、い、いや…」

「ハハッ…冗談だって」


もう何度目かわからない口づけの延長にそのままベッドの上で存分にじゃれ合って、不意に見上げた渚くんの背中越しには、見つけた一等星が高い夜空の果てで繊細な煌めと力強い輝きを放っている。

満点の夜空で宝石のように輝くそれは、大都会の夜景にも霞まず、日々人々を惹き付け魅了して輝く彼のようだとアタシは思う。


「休みの日に呼出しなんて今に始まったことじゃない。それに明智もあぁ見えてお前のこと気にかけてるから、嫁いびりの一環だと思って大目にみてやって…」

「へ………っ⁉」


い………

いま、なんて言った?


「っ………、、、」


もはや色々なんていうか、どこに驚くべきなのかすらわからずあたふたするアタシを渚くんがまた抱きしめる。



「ちょ、そんなことしたら、ッ…う、うつるよ?」

「ん?……うつすんだろ?一生…」

「っ、もう…ン…ッ…───」




───こうしてこの日アタシは…

優しくて意地悪な魔王様に一生治らない風邪をうつし続けることを誓うのでした………。











────fin…






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