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今宵もネムリヒメに素敵な夢を...♡

第6章 風邪なんてオレにうつしてさっさと治しちまえよ♡ver.渚





「…どうした明智、そんなに血相をかえて。お前がそこまで取り乱すとは珍しいな。今すぐ世界でも滅びるのか?」

「っ、、、冗談は結構ですから!!」

「そうか?」


そして、誰よりもわかりきっているはずのその理由を白々しく彼に問いかけてみては、自分のその態度に言葉を詰まらせる彼に口許を思い切り歪め笑って見せる。


そう…明智が鬼の形相で社長室を訪ねた理由も、どうして彼がこんなにも取り乱しているのかも、渚にとってはすべてわかりきっていることだったのである。それも決まって、自分がついさっき彼に命じたとある遣いについてのことだということも。

…とはいえ、いつも完璧な神対応をみせる彼がここまで取り乱すとは、いったいどれだけよっぽどのこなのだろうか。いったん抑え留めた彼の大噴火は入室早々の渚の相変わらずの態度によって再びマグマを噴き上げようとしているようだ。

するとそんな様を見かねた渚が吸いかけの煙草を灰皿に潰し、デスクチェアーに腰を下ろして正面に赴いた明智の方へくるりと振り向いた。


「…それで、なにがそんなに不服なんだ。別に難しいことを頼んだ覚えもないし、秘書に確認はとってあるからスケジュールに差支えはない。だったらここに怒鳴り込んできた勢いでいつも通り邸まで車一台飛ばせば済む話だろう、違うか?」

「………っ」


明智に渚から投げかけられたのは疑問詞だった。しかし彼の口から返事は一向にない。すると、長い脚を組みなおした渚が頭を抱え、大きなため息をつく。






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