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今宵もネムリヒメに素敵な夢を...♡

第5章 ちーちゃんの夏休み♡








傾いたカラダを引き戻すかのように腕が引かれ、揺らぐ視界にはパーカーの黒い袖。


ちょっと!?

なにこれ待って!!

あのね、ふたり同時にそんなことしたらねっ!!

ほらっ!!


「ひぇッ…!!」


渚くんと雅くん…

それぞれに"こっちこいよ"と引っ張られたことを自覚したところで、間抜けな悲鳴が異空間にこだまする。


それから結局、

どちらの腕のなかにも収まることができなかったアタシは、情けなくもトレイの転がった床の上にペタリと腰を落とした。


「なにやってんだ、お前」


そんななか先に口を開いたのは渚くんで


「生憎オンナを床に座らせて楽しむ趣味はねぇよ」

「え、いや、その…」



いやいやいや、お言葉ですがアタシにだってそんな趣味はございません。

それにわかってますとも、ドSな魔王様が誰よりも紳士だってことくらい。

っていうか、この色男め!!

いったい誰のせいだと…


アナタ方ふたりに揉みくちゃにされたアタシの心臓、毎回のことながら鉄とかダイヤモンドでできてると思ってるでしょ。


「ほら、こいよ」

「ッ…!!」


いつもの余裕をもて余した顔をして、顎先で自分の隣へと招く渚くんを思わず睨む。


すると…


「…ちぃ」

「……!?」


その声に振り返れば、そこになぜか差し出されているコーヒーカップ。

その先を視線で辿れば書類をさっさと放り投げてソファーに寝転んでしまっている雅くんがいる。





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