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今宵もネムリヒメに素敵な夢を...♡

第6章 風邪なんてオレにうつしてさっさと治しちまえよ♡ver.渚







そしてアタシをまるごと包み込むように抱いてくれている彼の腕は、いつもそれだけで無条件にホッとさせてくれるものだ。

ただ眠れないだけならここでいつも通り、目の前にある色気ただ漏れの彼の胸元に思いきり擦り寄っていたところなんだろうけど…


「ッ…痛」


うぅ…

頭部を襲う不快な痛みは、それを許してはくれなかった。


─アタマイタイ

頭痛薬、どこだっけ…


頭痛を侮ることなかれ。

最悪、長引かせて悪化させてしまうと決まって吐気に見舞われるアタシ。

どうにかそれだけは避けたいが故に、薬を求めてモゾモゾとベッドから抜け出そうとする


…と、


「ん…千隼…」


あ…


不意にアタシを抱く腕に力が入れられた。

どうやら身じろぎをした際に、まだ眠っていた渚くんを起こしてしまったらしい。

目を閉じたままの彼が引き留めるように、腕のなかにアタシを閉じ込める。


「…どうした?」

「………た、い…」


髪に顔を埋めながら聞かされる寝起きの甘く掠れた声…

だけどそれは、


「…い、た…い」

「ん…?」

「…アタマ」

「…は?千隼?」


アタシの様子がおかしいことに気づくなり、即座に心配するものへと変わるわけで…


「アタマ、イタ…イ」

「…知ってる」


痛みをなんとか堪え、片言の日本語を文章にすることができたのは、完全に目を覚ました渚くんによって鎮痛剤を飲ませてもらったあとだった。





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