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紀香は美鈴の迫力に怯えながら
控え室を退散した。

「なーんちゃって。理佳もビビっちゃった？」

美鈴はおどけた様子を見せたが
あの表情は間違いなく本気だった。

紀香は何を言おうとしたのだろうか。

「ちょっとね。凄い迫力だったもん」
「そう？紀香って虚言癖があるから
あまり相手にしたくないの」

紀香はざっくばらんな性格に見受けられるが
やたらと嘘をつくようには見えない。

「じゃ、余計なことは言わない方がいいね」

美鈴に話を合わせる。

今は美鈴とその回りの人間を観察する時期。

焦るな。

準備は出来ている。

「そういうこと。ラーメンでも食べて帰ろ」