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一之瀬夫妻に子供は居ない。

妻である由美は身内に不幸があり
本日より一週間ほど実家である北海道に
帰省するということだった。

由美は嫉妬深く
中年の家政婦ばかりを雇っていたようだが
今回は急遽帰省となり
家政婦を選り好みする暇を遮られた。

それが幸いして一之瀬家に家政婦として
上手く潜り込むことが出来た。

「食事は済ませてきた。風呂は？」
「御用意しております」

チッ。

食事が要らないなら
最初からそう言えよ。

一之瀬が風呂に入ると
皿に盛っただけのケータリングの料理を
ゴミ箱へ捨てた。