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奇跡を生み出す腕を手に入れた、大阪の兄ちゃんの話を実話で公開

第3章 調子乗り豆マジシャン

 西くんの部屋は、とにかく狭かった。


 机と本棚と宇宙戦艦ヤマトの模型が、部屋を占領してた。


 西くんはカルピスを作って持って来てくれた。


 くそ寒い正月明けの三学期に、しっかりと氷が入ったカルピス。


 ストローを回したら、カラカラ音がする。


 二人でカルピスを飲みながら、なにをしようかと考えた。


 歌をうたうか、ミニ芝居をするか、漫才をやるか……。


 二人でやる。なにがあるだろう?


「西くん、この前のトランプの透視は?」


「う〜ん、どうだろう」


「あれは出来るの?」


「うん、やろうと思えば」


 なにか乗り気じゃない。


 ふと、机を見たら、あのトランプがある。


 それを手に取る。


「このトランプでやってたでしょ」


「ん……うん」


 西くんのあの透視は、誰に見せても驚く。


 先生の前でやるべきだ。


 トランプの裏を見て当てる。宇宙の力をもらっているはず。


 西くんは頭を下げ、ポツリとこう言った。


「ごめん……あれ、超能力でもなんでもないんだ」



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