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インスタントラバー

第1章 名古屋nn同盟

春風がまだ冬の寒さを含む3月中旬、名古屋栄の朝10時は様々な人達が各々の理由で慌ただしく動いている。坂本もその一人。わざわざ平日休みの日におろしたてのスーツを着て髪を気にし、胸と股間を脹らませそれがバレぬ様若干ぎこちない歩き方、しかも速足で向かう先にその店はあった。レ・セレブ・看板がなければ 一見アンティークショップにみえる外観はこの周囲の街並みにうまくとけこんでいる。中に入ると右手にカウンターがありそこには講道会系の下部組織の人間であろう30代の店員がスーツを着て丁寧な接客をしている。ひと昔前のチョーネクタイハッピのチンピラでシノギがままならない様な舌足らずな店員はここにはいない。最もこの店には似合わない。「ご指名はちさこさんでよろしいですか?」坂本は軽く頷き指名料込の60分二万円を払い待合室に入る。中には自販機とテレビ、風俗雑誌がおいてありフカフカなソファーに腰掛けて長い時間でも待てる様な作りになっている。壁には、顔写真付きのパネルが貼ってあり店の嬢達が坂本を誘惑しているようだ。ソファーに腰掛けると正面にはマジックミラーであろう壁にこちらの上半身正面が向き、あちらから見える様になっている。嬢が確認し自分の知り合いが来ていないか確認するためだ。
この店の常連になってしまった坂本は、解りたくなくても色々な事が見えてしまう。たまにレクサスを店前に横付けしバックを持った男性がカウンター奥に入っていく姿、多分金かメタンフェタミン系ドラッグだろう。坂本が入れあげている女、ちさこもその虜だ。あまり考えないようにし仮性包茎のセクスカリバーに意識を集中させる。今日はあいつを満足させてやる。早打ちガンマン卒業だ、もう年齢的に連射はできないコスモが足りない・・・ 「坂本様お待たせしました」店長であろう男が呼びに来た。笑顔だが目が笑っていない、やはりあちら側の人間だ、が、指も欠けておらず匂いも上品な香水の香りがする。最もこの男で三人目の店長だが・・・

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