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恋桜

第1章 恋桜

 彼女と出会ったのは、桜並木の桜が咲き始めた頃。俺は彼女を一目で好きになった。彼女は色白で背が高くて緑のワンピースを着ている。何より腰まである長いサラサラのピンクの髪。彼女は俺に見つめられているのに気付いたのかして俺に言った。


「どうしたのですか?」


 澄んだ綺麗な声。俺の胸が高鳴る。


「ごめんなさい……あまりに綺麗だったので」


 つい口走ってしまった。

「おかしな人」


 彼女はクスリと笑って言う。彼女の目は綺麗な茶色。ますます桜のようだなと思った。


「あの……名前、何?」


 俺は勇気を出して聞く。

「桃白櫻(モモシロ サクラ)よ」


 櫻……やはり彼女の名前はさくらか。


「よく似合うよ」


 思わず言っていた。


「あなたは?」


「黒咲仁(クロサキ ジン)。名前負けだろ?」


 俺は苦笑した。

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