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ご主人様は突然に

第7章 《未定》

~カズ side~



家を出て数日が経つ。



自分から離れたくせに

朝、目覚めるたびに

マナカやセンのことを一番に考える。



元気にしてるかな…



ソファーに寝ころんだまま

ボーっとしてると寝室のドアが開く。



「はよ」



豪快なアクビをしながら

俺が起きてるのを確認すると

すぐに浴室へ向かう。



出勤前にシャワーを浴びるのが

ここの家主の習慣だ。



俺は世話になってる礼として

簡単な朝食の準備に取りかかる。



トーストと……目玉焼きと……



パンをトースターに放り込むと

突然インターホンが鳴った。



誰だ?こんな朝早く……



時間を確認してみると

まだ6時を過ぎたところ



他人宅を訪ねるような時間じゃない。



いたずらか?



そう思って無視してると

ピンポーン、ピンポン、ピンポン

ピンポーンと連続で鳴らされ

さすがにイラッとしながら

受話器を取った。



「……はい?!」


「朝早くすみませーん!速達でーす!」



若い女性の声だった。



男ならなにか言ってやろうと

思っていただけに拍子抜けした俺は



「あー……少々お待ちください」



受話器を戻して玄関へ向かう。



変な勧誘なら断るけど……

速達なら受け取るべきだよな。



シャワーを浴びてる同期のためにと

渋々、ドアを開けると

ふくよかな体型の女性が立っていた。



俺の顔を見て驚いた顔をした。



すぐに玄関へ視線を向けて

家主の男の姿を探す。



「……あれ?塩谷さんはご不在ですか?」



女性が首をかしげて俺に尋ねてくる。



やっぱ塩谷と顔見知りなのか。



「えっと、塩谷は……」


「こんな朝早く―――ユリナぁ!?」



シャワーはまだ浴びてないのか

腰にバスタオルを巻き

塩谷が浴室から顔を出した。



俺を見て女性の姿を見つけると

目を見開いて女性の名前を叫ぶ。



……ユリナ?



女性とはやはり顔見知りらしい。



にこっと微笑む女性に対して

塩谷はフラフラと後ずさり。



えっと……



とりあえず俺は

ドアを開けるべきじゃなかったようだ。


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