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ご主人様は突然に

第1章 戦力外通告!?




ああ、神様。

私は何か悪いことをしたのでしょうか。





二十歳で結婚して

一年後に出産して

旦那と子供と三人で幸せな日々……







送ってたはずなんですけどっ!?



はずなのに、なにこれ。





目の前のテーブルには一枚の紙

記入欄にはご丁寧に書かれた旦那の名前



顔を上げて正面を見れば

苦虫を噛んだような顔をした旦那



その口から漏れるのは謝罪の言葉ばかり





謝罪を聞きたいわけじゃない。



「……な、なんで……」



やっと出てきた一言は

ありきたりなもの



他に言葉が見当たらない





旦那は気まずそうに

目を逸らして口ごもる



この場面には見覚えがあった



過去に一度だけ―――



旦那が浮気をした時だ。





ああ、そういうこと。



こんな時ですら女の勘は働く



いや、こんな時だからこそか



「……浮気したの?」



ボソッと私が声を出すと

ビクッと肩を揺らす



やっぱり。



「ごめん……」



やっと言葉を漏らした



辛そうに眉を寄せて

今にも泣きそうな顔をして。



そんな顔して……





「相手に……子供が出来た」





「……は?」


「俺の子なんだ……」





「はあぁぁぁあ!?」



泣きたいのはこっちなんだけど。





ああ、神様。

あなたは時に無慈悲なのですね。





……じゃねぇしっ!!





ある程度

真面目に慎ましく生きてきた人間に

こんな仕打ちってアリ?!



いや、アリなわけねぇだろっ!!



私の平凡な日々は、

終わっちゃうわけぇぇぇえ?!


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