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桜 舞う

第1章 桜 舞う

何時も何処か人を寄せ付けないオーラが出てるんだけど、笑った課長にはそんな欠片もなかった。柔らかい眼差しに、ドキドキした……

まさか食事に誘われるとか……
ホント、ビックリ。でも……嫌じゃない。むしろ、嬉しい。

…………

……嬉しいって、何で?

考えるとドキドキする。
課長の笑顔がチラチラする。
もうそれしか、浮かばない。


ダメだあぁ。今日はもう帰りたい。
お花見なんて行きたくない。
お花見は職場じゃないし、なんだか無礼講な空気もあるし……
もしね、もし。もしも課長が笑ったら、私正気でいられない。
ドキドキし過ぎて心臓止まる。

紅茶の缶を握り締め、思わず小さく唸ってしまった。

どうしよう。
この場に課長はいないのに、こんなにもドキドするなんて、来週からまともに働ける自信がない。
私に笑い掛けるなんて、突然仕事を褒めるなんて、挙げ句『食事に誘うから』なんて……

か、か、課長のばかぁ!
私の安寧を返してよ!




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