箱……漆
第2章 携帯
実家に帰り―――――…
香の荷物を…香が高校まで過ごした部屋に入れる…
シーンと静かに広がる実家…
「実家ってさ……“ただいま”って言ったら“お帰り”って…声が返ってくるのが――――…実家じゃねーのかよ…」
俺は、荷物を運ぶと……
両親の仏壇に手を合わせた…
「――――…父さん、母さん…香…そっちに行ったかな?」
一応…葬儀と火葬は済ませ…
骨は仏壇にある…
戒名がついた妹は…立派な仏様の一員となっている…
父と母に会って…抱き締められているにちがいない…
「――――俺も…そっちに行きたいよ…」
仏壇に向かい…弱音を吐いてしまう…
家族がいないなんて……
天涯孤独なんて…