テキストサイズ

君と僕。

第11章 君と僕と未来の話

まぁ、昔から少しそういう節もあったけれど。

「今日早番でしょ?」

「そうですよ」

昨日は緊急外来があったため、深夜から帰ってない。
今日は時雨さんと、もう1人診たら帰宅する予定だ。

「ね、憶えてる?」

「えぇ。モッテモテボーイな時雨さんが、もう虫なんてとまる場所もないように、僕のものだって示す証拠」

医者とは随分と給料がいいもので、学生の頃に比べたら貯金はみるみるうちに桁を増やしていった。

「上がったら連絡します。今度は二人でデザインを選びましょう?」

「うん」

僕も大人になったと思う。
自惚れではなく、昔に比べたら多少は成長した。

けどやっぱり。

「外で待ってるね。もう少しだけ頑張って」

時雨さんの優しく滲む瞳を見ると、まだまだ子供だと思うのだ。

時雨さんの誕生日のために休みを死に物狂いで取ったが、緊急で呼び出されたから、きっと心配して見に来てくれたのだろう。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ