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君と僕。

第1章 君と僕と日課

「まったく。朝からはやめてって言ってるじゃないですか時雨さん!」

教材の入ったカバンを抱えて、運転席に座る時雨さんを見る。
少し長い黒髪が風に揺れて、切れ長な瞳が楽しそうに細められた。

「あんなに乱れてたのに?」

「みだっ!…そんなコト」

「そうかい?けど、イっただろう?」

「ぅぐっ…」

白く爽やかな整った顔を僕に向けると、時雨さんはまた微笑んだ。
窓の外へと目線をそらして、朝の情事を頭から消し去る。

僕は赤地蓮。医療大学に通う大学生だ。
大学は地元だけど、隣に座る小林時雨さんと同居している。
時雨さんは社会人。
僕の大学と近い会社に勤めていて、社長秘書をしているらしい。

「ほら、着いたよ」

「ありがとうございます」

「頑張っておいで」

クシャリと頭を撫でられて、シートベルトを外す。
僕も気をつけて、と言い残して大学に入る。

もうだいぶ慣れたが、朝からあんなような事態になると、腰がズキズキと痛む。
今日のさすりながら授業だ。

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