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君と僕。

第8章 君と僕と出張

出張に出るのは明後日の夕方から。
時雨さんは夕飯の前に荷物を軽くまとめると言って部屋に戻った。

僕は合挽き肉やパン粉を準備して、ハンバーグの種作りを始める。
タネを猫の形にすると可愛い晩御飯になりそうで楽しくなってきた。

「蓮君、何か手伝う?」

春巻きの中身が完成する頃、時雨さんが出てきた。

「じゃあ、春巻きの皮巻くのお願いします」

「うん」

「明日は何食べます?」

「今日食べるもの作ってる時に明日のご飯の話ってなんか変だね。そうだなぁ、オムライス」

「うぐ...分かりました。頑張ります」

オムライスは作れるけど、フライパンから卵を破らずに移すのが苦手。
けど、彼が食べたいというのなら頑張るしかない。

いや、頑張りたい。

実習やテスト期間は時雨さんが料理を作ってくれるから、その時に僕もオムライスを頼もう。

上手に作れるだろうか。

美味しいと言ってくれるだろうか。

そんな風に思える人がいるのは、幸せだ。

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