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第1章 出会いーENA sideー

「あ~、道混んでる~~、もうちょい時間ズラせば良かった~~」
「まぁまぁ、後1件終わればオシャレなランチが待ってるよ~~、頑張ろ」


私の職業はスタイリスト。
専門学校を出て、今年で7年目。
学生の頃に憧れていたスタイリスト像とはけっこうかけ離れてて、今も借りていた衣装を大型のバンに積んで、1件1件返却している所だ。


「ワンピース3点と、スカート5点、確かに受け取りました」
「ありがとうございました。 またよろしくお願いします」
「こちらこそ、お願いします」


車の免許なんて、取っても乗らないかなーと思ってたけど、現在毎日フル稼働で乗ってる。
都会の運転は慣れない。 疲れる。
それでも、自分がスタイリングした衣装が雑誌に載ったりTVに映ったりするとやりがいを感じられる。


「わー、おいしそ~~」
「オシャレ~~ 女子力補給しとこ」
「絵那はまたむさ苦しい男社会に戻るもんね。 今日はありがと、私の返却分も一緒に積んでもらっちゃって」


彼女は専門時代からの友達で同僚の横田芹菜。
東京に来てからは唯一心を許せる親友だ。


「いいのいいの、ちょうどスペース空いてたし、ガソリン代の節約だよ」
「ホント助かったよー、今日はおごるね」
「ほんとー!? ラッキー」


芹菜は女性ファッションを専門にしている。
女性ファッション誌やファッションショーとかでも仕事をしてて、絵に描いたような華やかな世界にいる。
一方私は男性ファッションを専門にしていて、男性ファッション誌やTV番組とかの仕事をしている。
スタッフも男性が多く、華やかとはかけ離れている。


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