4月は君のぬくもり
第3章 由衣の決断
帰りのホームルーム。
私は努めて明るくした。
「明日は身体測定がありますので、体操服を忘れずに持ってきて下さいねー。じゃあ今日はこれで終わりです」
ーーーー
生徒達が帰り始めると、私は津田君の席に向かった。明るく振る舞うのも限界だ…。
「津田君」
「…はい?」
彼は帰ろうとしていたが、私の固い表情に切れ長のきれいな目で私をじっと見た。
「今から職員室へ来てちょうだい。大事な話があります」
「えっ」
それだけ言うと、私は足早に教室から出た。
生徒達で溢れ返った廊下を、まっすぐ進む。
「あっ堀江先生、さようならー!」
「由衣ちゃん先生、さようならー」
「さようなら」
他のクラスの生徒達とも挨拶を交わしながら。
「「津田くーん!」」
「キャーかっこいい〜!」
「…」
おーおー、相変わらずもてます事。
わかってるんだから。
私には見せない飛びっきりの笑顔を振りまいてる事ぐらい。
彼は私の後ろを素直に
ついてきていた。
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