4月は君のぬくもり
第5章 内緒の同居生活
結局姉は私の意思が固いと知ると、もう何も言わなかった。
そしてようやく彼の部屋へ到着し、私は
『トントン』とノックした。
「…」
え、またどっか行っちゃった??
ノブを回すと…
カチャ、って開いたじゃない。
ふぅ、良かった。
「よいしょ、おじゃましまーす!」
「…」
でも
重い荷物を持って中へ入ると、真っ暗で静かだった。
「津田君?ねぇ、いるんでしょ?」
奥の居間に、恐る恐る一歩踏み入れた瞬間
「きゃっ!」
私は突然背後から抱きすくめられた。
それが誰かなんて。
「津田君…何の冗談?離してよ」
「いやだ。先生、男と暮らすってどういう事か思い知らせてやる」
「っ!」
耳元で妖しく囁く声は、いつもの彼とは違っていた。
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