4月は君のぬくもり
第5章 内緒の同居生活
うーん。今日のメニューはなんにしよう。
朝晶午に好きなもの聞いておけば良かったな。
そんな事を考えながら、私は帰り仕度をしていた。
「お先に失礼します」
まだ残っている先生方に挨拶をし、職員室を出たが。
「あ、いけない」
私は教室に忘れ物をしてきた事を思い出したのだ。
また三階の教室まで戻り、教卓の中に入れていた書類をカバンにしまった。
ふぅー。
静まり返った廊下を歩いていると、私は向こうから来る人影に気づいた。
「っ」
それが誰かわかると、とたんに緊張が走る…。
私は伏し目がちでその人物に、軽くお辞儀をして足早に通り過ぎようとした。
だが無言で前方をふさがれた。
私が横へずれると、また大きな体が立ちふさがって邪魔をしてくる。
それが繰り返された。
困り果てた私は強く言った。
「もうっ、通して下さい阪口先生!」
それは体育教師の阪口達也(サカグチタツヤ)だった。
彼は31才の独身で体格が良く、顔つきも野性的で男っぽいから、女子生徒にも人気がある。
「ほんとに堀江先生はかわいいな。あっははは!」
「っ…」
阪口はいたずらっぽい目で私に言い、スタスタと立ち去って行った。
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