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果てない空の向こう側【ARS】

第1章 五十嵐家の朝

俺は弟たちが使った食器を洗うと、味噌汁を温め直した。


コーヒーを飲みながらテレビをつけると、朝の情報番組をやっていた。


しばらくそれを見ていたら、母ちゃんが風呂から上がってきた。


母「あー、夜勤は疲れるわ。もう歳ね。」


智「もう…って、すでに歳じゃん。」


俺は母ちゃんに味噌汁をよそって手渡した。


母「はは…、何よそれ。昨夜は急患もあったし、ナースコールもなりっぱなしで大変だったわ。」


智「お疲れさん。」


俺はコーヒーを飲み終えると、自室に戻ろうと席を立った。


母「智。」


智「なんだよ。」


母「いつもありがとね。」


智「なんだよ…。」


俺は照れくさくなって、逃げるように台所を出た。

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