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方位磁石の指す方向。

第7章 scene 6

櫻井side



もうすっかり冬になった。

雪がチラホラと舞い始めて
日が暮れるのが早い。


…隣にいるコイツとの時間も
そのせいで縮まった気がする。

楽しそうに話す横顔が
とても綺麗で。

雪よりも白く透き通った肌に
触れたくて。


「…二宮」

「ん?なーにー?」

「好きだよ」

「へっ、へぁ!?」


びっくりしてるのか
噛んだらしい。

そういうところも
可愛いんだよなぁ。ほんと。


…なぁ、二宮。

俺はどう映ってる?
お前から見て、
俺はどういう風に映ってるんだ?


「俺だって、好きだよ。
負けず劣らずって感じかな」

「…そかそか、ありがと」


いつまでも続くわけじゃない
この時間がとても大切で。

このまま時間が止まってくれたら
いいのに…。

そんなことも考えた。


少しだけ先を歩く二宮が

「遅いよぅ」

って唇を尖らせた。

「…てか、俺の唇ひどくない?
ガッサガサだよ、ほら、見てみ」

なんて俺の目の前に
唇を突き出した。

だから、頬に手を添えて

「見せて?」

って言いながらキスした。

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