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方位磁石の指す方向。

第1章 scene 1

櫻井side



「はぁ?」

「だから…和と喧嘩したの…」



…和って…んーと、二宮。


「なんでだよ?」

「…帰り道に…
男が男を好きとか、気持ち悪い。
って…。」

「それだけ?」



それだけだけど…って
ぼそぼそ喋る智くん。

はぁー…。

ほんと、呆れるわ。


…んま、そういうところに
俺は惹かれたんだけど。


「…だから、どうしたら
仲直りできると思う?って聞きたくて。」

「謝りゃいいだろ。」

「だから…和、いないんだもん。」

「はぁ?」


いないって…。

どうせそのうち帰ってくるだろ?
まだ高1だぞ?

補導されるのが目に見えてる。



「…探すか。」

「ほんと?いいの?」

「いいよ。丁度課題終わったし。」

「わぁーっ!
翔ちゃんありがとううう!」


…ありがとう。



言われて嬉しいのは、
貴方だけだから。

それに…智くんと
二人でいる時間が増える。
それだけで心が踊る。


「…うん。じゃあ智くんちに行く。」

「わかったぁ。」



…やっべ。


今の通話だけで
心臓やべえ。

バクバクいってやがる。


それだけ、
智くんが好きってことね。

これは叶わない恋だけど。


「よしっ」


現役サッカー部員の体力、
舐めんなよ。


ぜってえ二宮を探す。

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