テキストサイズ

方位磁石の指す方向。

第8章 scene 7

二宮side



「え……じゃあ、これから…
ずっと一緒に帰れないの…?」

「や、ずっとってわけじゃなくて…
……ごめん、いつごろになるかわからない。」

「そっか……」


そうだよね。
翔さんだって今年はもう受験生だもんね。

わかってたことなのに…。

いざ、こう言われてしまうと
ひどく落ち込む。


「…うん、ありがとう。
一緒に帰れる日はできるだけ
一緒に帰ろうな?」

「うん…仕方ないもんね」


仕方ない。
…仕方ないことだから。


「じゃあ、二宮、
学校頑張ってな。」

「うん、頑張る。」


…ウソ。

ほんとは頑張れない。

登校だって時間違うから
一緒じゃないのに
余計に一緒にいられなくなるなんて。

そんなの耐えられっこない。


「…無理だって…」


机の上でうだうだしてたら
潤くんが

「なにが?」

って俺の目の前の席に座る。


「んぅ…?
…まぁ、いろいろあるんだよ。」

「ふぅん?
…あ、そうだ。
今日一緒に帰んない?」

「いいけど…帰り道逆じゃん。」

「寄りたいとこがあるの。
それだけ。」

「ふぅん…別にいいよ?」

「さんきゅ」


十分休みは、
そのままふたりとも無言のまま
過ぎてしまった。

…だけどそれが、
ささくれた俺の心には
居心地がよかったんだ。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ