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方位磁石の指す方向。

第16章 scene 15


二宮side


「うん、そろそろ着くよ」

がたんごとん がたんごとん

心地よいリズムを刻みながら、
走ること三十分。

進むにつれて高い建物が減っていく。

窓の外をぼーっと見つめて、
会ったら何をしようか、
まず最初になんて言おうか。

そんなことを考えていた。


この春、俺も高校を卒業して、
進路通りの道を進んだ。

大学は、翔さんと同じところにしようとした。

けれど、レベルが高すぎて
単位を落とすだろうと思ったから、
少しレベルを下げて。

だけども、翔さんの近くにいたいから。


「着いたよ〜」


合鍵で、翔さんの部屋に入る。


「おー、ひさしぶり。
なんかでかくなった?」

「くふふ、卒業前に二センチ伸びた」

「すげえじゃん。
あ、コーヒーブラックでいい?」

「うん、ありがと」


『高校卒業後、俺と暮らそう』

そう言われた日から、
俺は本気にしていたから。

もちろん、おばさんにも相談して、
翔さんのお母さんとも話し合った。

付き合っていることも、
俺らからカミングアウトした。


だって、真剣だから。

隠したくないと思ったから。

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