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方位磁石の指す方向。

第3章 scene 3

二宮side



翔さんのことなんて…
もう、どうでもいい。

会いたくない。
誰にも会いたくない。


「和、今日も学校行かねえの?」

「…行きたくない。」

「……そっか。」


智とのこんなやり取り、
もう何回したんだろう。

毎朝、こんな夢を見る。


翔さんと一緒に笑っていて、
翔さんは俺のが欲しい言葉を
全部全部言ってくれる。

だけど、目が覚めそうになると、
それが全部パズルのピースみたいに
バラバラになって崩れ去る。


何度も何度もそんな夢を見て、
やっぱり辛くて。

だけど、翔さんに会いたくて。


もっと近付きたい。
奥の方まで。

もっともっと、近付きたい。



おばさんが作ってくれた
甘い卵焼きを食べる。

こんな俺にも優しくしてくれる。
俺を大事に育ててくれてる。


そんなおばさんの優しさと、
翔さんの優しさが似ていて、
涙が溢れた。









会いたい。


やっぱり翔さんが好きなんだ。俺。

いつの間にか、惹かれてたんだ。


出会ったときから、
気になってたんだ。



どうでもいいなんて、
嘘だから。

会いたくないなんて、
嘘だから。


俺のこと、ちゃんと見て。

俺も翔さんのことちゃんと見てるから。





軽蔑されたっていい。


好きって気持ちに気付いたら、
もう、止まれない。





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