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秘密の兄妹 2

第3章 純哉と奏多


「…で、紫織ちゃんが食べ物も禄に食えなくなった原因は何だったわけ?」


3人になったところで、俺が悠人に尋ねる。


「…あぁ、家庭内のことで心配事を溜め込みすぎてストレスであんな状態になってたらしい。

あいつ、人に悩み事とか相談するタイプじゃないし、
うちの家族がバラバラなのは全部自分のせいだと思い込んでるような奴だからな。

紫織のせいなんかじゃないのに……。

で、そんな時にレイプ未遂事件があって、頭ん中で悩みの処理が追いつかなくなって、心のダムが決壊した状態になってたみたいだ。

……って、あとから紫織を診てくれた心療内科の先生が俺に説明してくれた。」


「あ〜、紫織ちゃんならそうなるの理解できる。
人のせいとかに出来ない子だもんな。」


大地はうんうんと頷く。


「…悠人、お前、これからはもっとしっかり紫織ちゃんのこと守ってやれ。
紫織ちゃんにしなくてもいい苦労させんな。
いま、あの子を大事にしておかないと後で後悔するのはお前だぞ。」


「おっ!風磨、結構言うねぇ。」


大地が軽いノリで茶化すが、俺は深く息を吐き、黙ったままでいる悠人に言う。


「俺はお前のことも紫織ちゃんのことも本気で心配して言ってんだ。
お前ら兄妹が暗い顔してんのは嫌なんだよ。

悠人、お前、これからは以前の10倍くらい紫織ちゃんのことを気にかけろ。
変な輩が紫織ちゃんに近付かないように、しっかり目を光らせとけ。」


「…努力はする。」


悠人は一瞬目を泳がせたあと、小さな声でその一言だけ呟いた。




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