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Everything

第32章 かわいいひと〜離れていても〜



「あんた、久々に帰ってきたかと思ったらなんなの?」

晩ご飯の後、冷凍庫をゴソゴソしてアイスクリームを見つけて、にんまりしてる俺に無情な言葉を投げかける母ちゃん。

「なんだよ、それ。
久しぶりの息子の帰省なんだから喜べ、可愛がれ。」

カップのアイスをスプーンで掬って口に広がる甘さを堪能して適当に返事する。

しょうがないじゃん。

先生が遅くなるって言ってたから。

俺だって早く連絡来ないかなって思ってるよ。

「なに?今日は友達に会わないの?」

「んー。」

「松本くんは?」

「…んー。」

適当な受け応えはワンパターン。

「彼女は?」

唐突なワードに思わず咳き込んだ。

「ゴホッ…
は?んー?」

否定も肯定もしないでおこう。

母ちゃんは興味があるのか、ないのか全く読めない表情で俺のアイスをひと口ちょうだい、って口を開けた。

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