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異彩ノ雫

第15章  八ノ月 ②




窓の外

海へ沈む夕陽を見つめ

その人は

握りしめた胸元のロケットを

静かに開く



カチリ…

微かな音に時の流れは反転する



…この唇が

ふたりの夢を語った

愛を囁き

くちづけた…



細い指先が辿る記憶に

唇の熱が甦る



還ることのない愛しい日々…



これも逢瀬、と

微笑む横顔…

夢見るままに 美しい







【唇】


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