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問題児とオタク少女

第5章 篠田璃子の闘い

ー私は篠田璃子。

親友である、みゆこの恋を応援している。

谷村はみゆこのこと好きだし、みゆこも自覚ないけど、谷村の事が好きだ。

間違いなく。

このまま二人がくっつけば…

と、思いながら廊下を歩いていると、空き教室の方からある声が聞こえた。

「…さき…を…いじょ…はや…」

ん?なんて言ってるんだろう。

私は物陰に隠れて様子をじっと伺った。

こっちの方は電気が付いていないため、暗くて顔がよく見えない。

まず、誰?こんな怖い声の人…

「佐々木みゆを排除してって言ってんのよ!早くしなさい!」

突然大声が聞こえ、びっくりして後ろに転びそうになるのを必死で耐えた。

そっと覗いてみると、はるちゃんが泣きそうな顔で、もう一人の人物を見ているのが目に入った。

不意にそのもう一人の人物が振り向いて、呟いた。

「誰かの視線を感じたんだけど…気のせいかしら。」

心臓がバクバクと鳴っている。

バレたら即殺されるだろう。

ツヤのある長い黒髪とキリッとした黒い瞳を持つ、富士崎真衣に!!

先ほど富士崎真衣が振り向いた際にちらっと見えたのだ。

ー独特な真っ黒な瞳が。

しかし、一番の問題は…

(みゆこを排除する…)

なんで?どういう理由で?

その答えは容易に想像ができた。

今の声は富士崎真衣だ。

という事は、

(谷村との関係に邪魔って事ね。なるほど…でも観念しなさい!そんなことさせない。みゆこの幸せを奪わない

でくれるかしら!!)

ーこうして私と富士崎真衣の闘いは始まった。

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