飴と鞭と甘いワナ
第6章 HurryUp! episode 1
声を出したらにのにのに見つかる
それこそ逃げられる
だけど
俯いてたにのがふと顔を上げて
俺に気付いて目を見開いた
ヤバい、逃げられる!
おとなしく乗るのもここまでだ
俺は「すいませんっ」とエスカレーターに乗ってる人達に謝りながら、駆け上がった
終着まで後少し
走ればにのに追い付ける
にのも、俺に気付いてから駆け降りてるけど
俺の方が足は早いんだ
だけど
下りのエスカレーターを降りた瞬間、やたらざわついてる若い女の子の集団がいて
その中の1人が、俺に気付いてしまった
いや違う
このざわつきを作ったのは、絶対あいつだ
俺が、無碍に出来ないのを知っててわざと気付かせたな
キャーキャー騒いで囲まれてしまい、身動きが取れない
揉みくちゃにされながらも、何とかその集団から抜け出した時には
完全ににのを見失ってしまった
キョロキョロ辺りを見渡しても、姿なんか見えるはずもなく
これ以上騒がれないように
とりあえず人目に付きにくい奥の階段に足を向けた
踊り場にある置き型の灰皿
喫煙スペースは、この時代に沿うようにひっそりとしていた
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