飴と鞭と甘いワナ
第10章 2匙め
N side
…俺、何で来ちゃったんだろう
見るからに高級そうなマンションの、綺麗に伐採された植え込みの前に佇む事15分…
相葉さんが “ごめんね“ って先に帰って行く背中を見送った矢先に入ってきた彼女からのメール
《帰りにアイス買ってきて》
…能天気なそれに、イラッとした
こんなおねだりは前からあったし、可愛いとも思ってたけど
何の相談もなしに、唯一のバイトすら辞めたのを知って
マリッジブルーなんて可愛いもんじゃなくて
彼女に対しての気持ちが急激に冷めてしまったからだ
だから憂さ晴らしにと相葉さんを誘ったけどフラれてしまって
かと言って宣言通り1人で飲みに行く気力もなくなって
でも家には帰りたくないし
そう思ったら無意識に足が教室に向かって行って
添削をしてる大野さんを見つけて、思わず言ってしまったんだ
“相葉さんの住所教えて“ って
普通なら個人情報で教えるはずないのに、大野さんも一瞬迷ったものの
“二宮くんならいっか“ とあっさり教えてくれたから
勢いのままタクシー拾って飛び乗って
……今に至る
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