飴と鞭と甘いワナ
第3章 scene Ⅲ
そうだよ
普通に考えて、休み前だよね
俺、何焦ってんの?
何で雅紀に言われるまで、そんな当たり前の事に気付かないんだよ
これじゃあまるで
俺が雅紀に会いたくて仕方ないみたいじゃん
こんなの俺のキャラじゃない
「…だったらそう言えよ!言わなきゃ分かんねぇよ」
ああもう
こうなったら逆ギレしか方法がない。
『そうだよね、ごめんねニノ』
それなのに、あっさり謝る雅紀。
雅紀は悪くないのに。
『金曜の夜、でもいい?』
どことなく、遠慮がちに聞いてくるから
「分かった」
俺もそこは素直に返した。
『時間は…ニノが決めていいよ。
俺、その日は半日で終わるからさ』
「前日に、メールする…」
珍しく穏やかなままの声の雅紀に
俺もトーンダウン。
『うん、じゃあ待ってるから』
「分かった…」
いつもの強気な自分が、行方不明になってしまった
金曜日までに、取り戻さなきゃ。
負けるなんて、有り得ないんだから。
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