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第1章 【cast1】ミク
困らせたっていいと思った。
今を逃したら、もう気持ちを伝えることもできない。
「…もう会えないの?」
どんなに情けない顔で見ているかわからない。
俺は真央に何を求めているんだろう。
自分がどうしたいかもわからないまま、真央の突然の卒業宣言。
なんてやっかいな世界。
なんてやっかいな俺。
「ミクくん、意外と情が深いんだね」
「…意外と?」
聞き慣れた軽口。
真央が、俺達の間にキッチリと線を引いた。
俺が笑い飛ばせたなら、二人は仲の良い客とヘルプの関係のまま終われたんだろう。
そして真央は、それを望んでいたんだ。
だけど、もうダメだ。
「…情なんて深くないよ。他のやつならなんとも思わない。人の客が切れただけだって、鼻で笑うね」
「…え?」
(…見ないフリすんなよ。俺は、)
「わかんない?アンタのことが好きなんだけど」
言った途端、
俺の目からでっかい涙の粒が落ちた。
真央はすごく、悲しそうな顔をしていた。
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