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Cream Puff

第7章 7

〜末ズ ライカ〜

春も夏も秋も、一瞬で過ぎていった。

どの季節も美しくて。

俺を置いてけぼりにしていく。

連れて行ってくれないかなぁ。なんてぼんやりと考えながら、君と初めての冬。

冬を待つ、君の赤いマフラー。

赤くなった頬が、いつもより可愛いと思った。

あの日、ライカで映した君の顔を思い出した。

「何、笑ってんの」

「なんでもないよ」

「潤くんのそういうとこ嫌い」

「ええ」

ホントは好きで好きで仕方が無いのに。

「ごめんね、かず。大好きだよ」

「うん、そういうことはもっと言っていいんだよ」

くふふ、と笑いとともに白い息を吐いた。

君と、初めての冬。

またライカで君を映す日は来るんだろうか。


end

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