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別れ道 ~同窓会の夜~ SA

第1章 1 雅紀

1-1

同窓会会場は まるで学生時代に戻ったよう
あちこちで笑いが起こったりして大いに盛り上がってる

俺もニノや松潤と楽しく話してるんだけど
時々…翔ちゃんの視線を感じて そっちを見そうになってしまう。

翔ちゃんはクラスの人気者だったから、みんなと楽しそうに話してるんだけど、ふとした拍子に俺の方を見てる…と、感じるのはきっと気のせいなんかじゃない。



そしてほぼ全員が参加した二次会
…俺は帰るつもりでいたのに、「既婚者だからって二次会ぐらいは付き合えよ」なんて周りに強引に誘われて…流れで参加してしまった。
でも、これが間違いの元だったんだ。






みんなが席を移動しあって、かなり場がぐちゃぐちゃになった頃…いつの間にか俺の隣に翔ちゃんが座って、自然に俺に酒を勧めてきた。

「久しぶりだな、雅紀」
「う、うん。翔ちゃん…元気…だった?」
「相変わらずだよ…お前は?」
「うん、俺も…」

翔ちゃんの顔が見たい、あわよくば何も無かったかのように会話が出来たら…なんて思っていた俺だったけど…いざ、こうして話しかけられると、いたたまれないような居心地の悪さ…。
ここで急に席を立つのも不自然だけど、二人で何を話せばいいのか、
…どうしよう、どうしようと思っているうちに 手持ち無沙汰になることを恐れて 注がれるままに飲み続けた酒のせいで 俺はかなり酔っ払ってしまった。
そこへ、スッ、と顔を寄せて囁かれる。

「この後、2人でゆっくり話せないか?」
「え…」
「何も取って食いやしないよ、話がしたいだけ」

ニコッと笑う翔ちゃん
…でも…

「…ごめん、 俺、帰らないと…」
「…子供、生まれたんだって?」
「えっ、…だ、誰から聞いたの?」
「さっき松潤が言ってたよ。子供がいる奴は男ではまだ5人だけ、一番最近生まれたのは雅紀んとこらしい、ってな」
「あ…そうなんだ…。…あの、ごめん、俺 トイレ…」

俺は逃げ出すように席を立った…、いや、実際逃げ出したんだけど…。
翔ちゃん、変に思ったかな、でも、これ以上この話題に触れて欲しくなかったんだ。


…やっぱりあんな嘘言わなきゃ良かった…。

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