狼くんを飼いますけど…
第3章 同居者
親友と彼が浮気して、お下がりだけどあげるなんて言ってから数日…
悔しくて、ましてや自分の親友がって思うと イライラが止まらない。
どうでもいい、いらない、そう吐き捨てたのに、悲しみや痛みがじわじわと押し寄せてくる。
なんで私が?
どうして親友と?
信じられない…
あんな笑顔でキス出来るもの?
許せない!
だから もう、いらないっ
それからさらに数日…
私はバイトする職場にいた。
親元から自立したくて離れたものの、現実は厳しい。
見栄を張って 見映えのするワンルームマンション、セキュリティ万全。
家具は備え付けてあり、荷物もさほどいらず 運良く入居出来た。
ただ、三階建の一番奥。
近所の交流なく ただ住んでいて、月に1度回覧板をポストに入れると 住人に偶然会うが 挨拶は会釈のみ。
なんとも 絡みのない空間。
悲しみを誰にも癒してはもらえず、ある満月の夜に呟いた。
「 私を満たす人… 私だけを見つめてくれる人… 癒しをください 」
なんて、バカな事を満月に向かって言った。
私の職場は居酒屋カラス、特にランチタイムを中心に勤務している。
ホールからキッチンから私は何でもやる。
ちょうど昼休みの休憩時間、店長の烏丸(からすま)に呼ばれた。
「 南部( なんぶ)ちゃーん、ちょいと おいで~ 」
「 も~ 南部(みなべ)です!」
ほんとに よく間違われるが、私は“なんぶ”ではなく、南部 笑瑠(みなべ えみる)と言う名前なのです。
そして店長は男ながらに女っぽい言葉使いをするときがあり自然と親しみを持たれる人気のある人だ。