
オオカミさんの恋毒
第1章 出会いと挨拶
京弥が臣に制され店に戻っていく。
臣が私の顔をじっと見ていることに、私はなぜか一歩下がる気持ちだった。
「 葉月 」
「 はい?」
な、なんか 怖いんだけど… でも、朝からカッコいい…
「 シュシュ忘れたわ、じゃな 」
は? え…… それだけ?
私の緊張戻してよ~
妙な脱力を感じながら私も店に戻り開店準備を進める。
そのうちパート勤務の山科が来る。
「 葉月ちゃん、おはよう 」
「 おはようございます!」
「 瑠璃さんは?」
「 それが、風邪で休みなんです 」
「 あら。風邪ねぇ… 夜更かししすぎたんじゃないかしらね 」
あ、それなら ありうる。
もしかして セラフの浅倉社長と?
まさかね……
デパートが開店し、私がカウンターで切り花を特価用に分けていると、店先にいた山科が私に客だと言いに来た。
「 あの、お待たせしまし…… !?」
声をかけ私に振り向いた人に私は驚いた。
な…んで この人が? どうして…
「 亜弓さん… 」
その人は臣の元彼女だった。
「 あなたと話してみたくて来ました。時間作ってもらえない?」
なぜ… 臣ではなく私に会いに来たのか、検討もつかない。
私は早鐘を打つ心臓に嫌な予感を感じた。
