Perfect Romance
第12章 我が儘でもいいから
会社の前に着いたのは、18時半前だった
確かかずはいつも18時過ぎに会社を出るって話をしてた事がある
もしかしたら、もう帰ってしまってるかもしれない
受付は17時半で閉めてるから聞く事も出来ない
どうしよう
いるかどうかも分からなければ、俺がここにいる意味も分からなくなっちゃう
ダメ元で電話をしてみるかとポケットに手を突っ込んで
え…っ!!
ー…嘘でしょ!?
スマホをデスクに忘れてきた事に、今気が付いた
何やってんだよ
俺、どこまでバカなんだよ…
今どき公衆電話もないから、いくらかずの番号を暗記してたって掛ける術もない
さすがに情けなくなって、不覚にも泣きそうになった
会社前の、歩道のガードレールに寄りかかり
暗くなった空を仰ぐ
大の男が、こんなとこで泣けるわけない
…だから空を見て、溢れそうになる涙を堪えた
腕時計で時間を見て
後10分待ってみようと心に決める
ー…会えなかったら、どうなっちゃうんだろう
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