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キラキラ

第35章 屋烏之愛


不意打ちのようなキスに、思わず固まってしまう。
一方で、松本は何気ない風に、また俺の肩を抱いた。


なに……なに……


……俺の心拍数はただだ爆上がりだ。


うわ……あ……!


柔らかな感触を思い出し、頬が染まるのがわかった。
松本の家に行ったときに、されて以来のキスだ。


俺は、なんだかモーレツに恥ずかしくて顔を隠すように下を向いた。


だから、免疫ないんだってば……


耳まで熱くなってきた。

俺は顔をあげられなくて、ひたすら握った自分の手を見てた。

……松本は、俺を自分のものだと豪語するわりには、所謂そういう恋人のような触れあいをあまりしてこない。
俺が、極度に緊張してるのが分かるからかもしれないけど……。

あれ以来、学校の外で、ほっぺにチュウくらいのスキンシップどまりだ。

……でも、松本は、それ以上のことをしたいんじゃないのかな、と思う。

俺は松本のものだから………だから……もし求められたら……まぁ、程度はあるけど、いいとは思ってる。
……けど、学校はヤバイよ。


ドキドキがとまらずに、固まってると、松本はクスリと笑った。


「悪い。驚かせた」

「……いえ……まぁ」

「……なんか悔しくて、思わずしちまった」

「…………?」


悔しい?


俺が、きょとんとして、顔をあげると、松本は困ったように肩をすくめてみせた。


「こんなに大事にしてるのに。俺より先にカズに触れるやつがいたことが、すげー嫌だったから」

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