
キラキラ
第35章 屋烏之愛
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平穏な日が続いた。
俺にちょっかいをかけた四人は、松本たちに相当脅されたようで、それ以来近づきもしてこない。
次の日に、そろいもそろってあちこちに絆創膏を貼って、登校してきたやつらは、俺を怖いものをみるように避けた。
松本が本気で怒ってた、と、あとで上田がぼそっと教えてくれて、ちょっと嬉しかったのは内緒。
ちなみに俺の首の傷はかさぶたになったものの、いまだそこは肌色の医療用のテープを貼って、ごまかしてる。
キスマークともいえるアザがまだ消えないからだ。
テープを貼ったら目立つけれど、貼らなくても目立つなら、患部を見えなくした方がいいと判断した。
それに、松本が見ると嫌な気分になるだろうな、と思うし俺自身あまり見たくないし。
なので、俺の首にはずっとテープが貼ってある。
事情を知らない人たちには、ぎょっとされるけど。
ただ……困ったことがひとつ起きた。
あの日の四人は下校中の衆人環視のなか、松本と上田に首根っこつかまれて凄まれたみたいで。
それを見ていたほかの生徒らが、好き勝手に噂を流し始めたのだ。
「……で?」
面白そうに松本が笑うから、俺は困って見上げた。
「……だから。みんな言ってるんです。俺があなたの恋人だって」
「ほんとのことだからいーじゃねーか」
「そうですけど……」
