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キラキラ

第7章 ナチュラル

「それ聞いてなんになるの」

あいかわらず、唐突にぶっこんでくるなあ………。

笑いを含んで、つっこんだら、翔ちゃんは、んー………と言って、頭をがしがしかいた。

「結局さ、経験に裏打ちされた芝居ってリアルじゃん?」

「うん」


まあ、そうかな?


「俺さ………過去、それなりにつきあってきた女の子はいるけど、大事にしすぎて、あんまり手だしてないんだよね」

「うん」


まあ、そうだろうね。



「で、さ。今は………………」

そこで、翔ちゃんはいったん口をつぐんだ。

ぴんときた。

ははあ、そういうこと。

「ね。翔ちゃんは、松潤を襲ったことはないの?」

翔ちゃんが一気に真っ赤になった。

「あるわけねーじゃん!!」

「キスは?」

「………………あるわけねーじゃん」

俺は、くつくつと笑って、思わず目の前の翔ちゃんの頭を、ポンポンとたたいてみた、

「可愛いな。翔ちゃん」

「なんだよ」

「俺は………あるよ」

「………………」

「キスならね?」

真一文字に結んだ口が、見開いたドングリ目が、マジ?って言ってる。
俺は、穏やかに続ける。
酒なしで、話す話題でもないんだけどな。

「どーしても、抱かれたいって日。ない?」

「………わかんね」

「どーしても、求めて欲しい日。そういう時には、松兄にこっちから仕掛けるよ。そういう時は大胆になれる」

俺は、翔ちゃんの目を見つめた。

「例え芝居でも、女優さん相手にしかけていく気持ちや手順に、自信がないんでしょ?」

受け身だもんね。今。

あー…もう。……翔ちゃんこんな人だったかな。
仮にも男だろー?
完全に、松潤に骨抜きにされてんじゃん。
乙女じゃん。乙女。

「松潤に教えてもらいなよ」

こんな風に。

言って、翔ちゃんの顎を持ち上げて唇を寄せる。

唇があと数センチでくっつくところでとめて、

「これ176ページにあったやつね」

笑って顔を離すと、カチカチにかたまった翔ちゃんの表情がほんのり赤くなった。
思わず言う。

「………ほんとにやんないよ(笑)」

「あ………いや、分かってるけど」

どきまぎしてる翔ちゃんが面白い。

「なに?してほしいの?」

ちょっとからかいたくなって、顔をもう一度寄せていったら、

「……………そのへんにしといてくんない」

低い声がその場に割って入った。

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