テキストサイズ

キラキラ

第39章 バースト12


展望デッキから、父さんと母さんの乗った飛行機を見送った。
2人とも忙しい人だし、俺と智兄が、ほっといても大丈夫な年齢になってきていることを考えると、また次に会うのは何年後かになるのだろうな。


………元気で。


俺は心で祈る。


口うるさくたって、親は親。


お節介な母さんも、物静かな父さんも、いつだって俺らのことを第一に考えて大切に育ててきてくれた。
俺らが能力者であることも全てひっくるめて愛してくれた。

俺たちが普通にこだわるのは、あの人たちのおかげなんだ。

昔のことを思い出しながら、少しセンチメンタルな気分で遠ざかってゆく機体をみつめる。


すると、俺のとなりで、


「行っちゃいましたね…」


と、小さくカホが呟いて、ふっと現実に引き戻された。



「そうですね……嵐みたいでした」


俺は、苦笑して頷いた。

まぁ、いうなれば、この人も被害者だよな。

周りを、盛大にかきまわして、第三者までひきずりこんだ母には、この点だけは恨まねばなるまい。


俺の口調が事務的に聞こえたのか、


「あの。ほんとに送ってくださるのでょうか」


カホが俺を見上げた。


………………。


大きな瞳が不安そうに揺れてる。


いや、あんた空港まで1人で来たんだろ?来れたんだろ?と言いたいのを、ぐっとこらえた。


ストーリーメニュー

TOPTOPへ