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キラキラ

第9章 どきどき



「Confidential…………ヒミツ?」

ページをめくり、目にとまった答えに、思わず、ぎくりとした。

今、自分が考えてたことを言い当てられているような気がして。

そんなわけないのにな。


相葉先輩は、流暢な発音で、

「そう。だから、a confidential talk  で、打ち明け話って訳すんだよ」

シャーペンでクルリと丸をつけながら、言った。
そして、チラリと俺を見た。

「…………打ち明け話かー。二宮は、たくさん秘密ありそうだな」

「え?」

「ま、その時は、先輩の俺がきいてやるよ?」

相葉先輩は、俺をみてくすりと笑う。

なにいってんの。この人。

わかってないな。

無理だよ、無理。

「…………俺の打ち明け話は、きっと重いですよ(笑)」

思わず、言い返した。

「え、そうなの?」

「多分、相葉先輩は受け止められませんよ」


「…………そんななの?」


…………本気にすんなよ。
言うわけないし。


「…………例えばですよ(笑)」


不安な目をする相葉先輩に、笑って突っ込んだところで、昼休み終了五分前を知らせる鐘がなった。

「あ、もう終わりか」

早いな。

「…………ありがとうございました」

もっと、一緒にいたかったな。

残念に思いながら、ペンケースにあれこれしまってると、相葉先輩は、立ち上がり俺の頭をくしゃりと触った。

「また、しような」

…………こういうのが、たまらないんだってば。

俺は、赤くなりそうな顔をガマンして、はい、と頷いた。

この人が、好きなのかも、と自覚したとたん、我ながら反応が顕著になった気がする。

まずいな。


内緒だってば。


自分に言い聞かせながら、つくるポーカーフェイス。


相葉先輩は、じゃあ、部活で。と二年生の校舎に向かって歩いていった。

俺も、小さく呟いた。


「またあとで」




相葉先輩。


その笑顔が好き。


              end






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