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キラキラ

第18章 アッチノキミ

しかし、そのあとすぐに収録がはじまってしまい。
それならば、と、終わったら即座につかまえようと意気込んでいたが、潤はそのまま雑誌の取材に連れていかれてしまった。


「……………」


「翔ちゃん。どした?」


楽屋の机につっぷしてたら、着替えを終えた相葉くんが、心配そうに俺を覗きこんだのが分かった。


「傷心なの。俺」


「なにいってんの」


くすくす笑って俺の頭をよしよしとしてくれる。
相葉くんは、とても勘がいい。


「潤ちゃんでしょ」


「……よく分かったね」


「分かるよ」


柔らかく微笑んで、相葉くんは俺の横に座った。
ふわりといい匂いがした。
相葉くんの香水の香りは、すごく清々しくて爽やかで、結構好き。

今度、どこのか聞いてみよう……

ぼんやり、そんなことを考えてたら相葉くんは、


「なんか、潤ちゃん今日はおかしいね」


と、いうもんだから、俺は、飛びついた。


「だろー?!ぜってー俺をスルーしてやがるんだ、あいつ!」


ぎゃあぎゃあわめくと、相葉くんは、まあまあというように肩をさすってくれた。


「うーん。翔ちゃんにどうこうというより、潤ちゃんが変だよ?」


「……潤が?」


「うん。なんか、落ち着きがないというか」


落ち着きがない?


「心ここにあらずって、感じ。心当たりはないの?」


「……あったら、こんな悩んでねえわ」



「そか」



ぼそりと返したら、相葉くんは、ふふっと笑った。


心ここにあらず、か。
スルーされることにばかり気をとられてた。
メンバーに看破されるくらいに、いつもの潤じゃないんだ。


急に不安になってきた。


どうしたのだろう。
悩み事か?
それならば、俺に話してくれたらいいのに。
俺は、おまえのなんなんだ。


黙って、怖い顔をしていたら、相葉くんがまたくすくす笑って、俺の顔をのぞきこんできた。


「そんな顔するなら、潤ちゃんちいっといでよ。
合鍵あるんでしょ。待ってたらいいじゃん?」


「俺……このあと仕事もうひとつあるもん」


「じゃあ、終わったら行ってきたら?」


「入れてくれなかったら?」


そこまで言うと、斜向かいでpadで調べものをしていたにのが顔をあげて、皮肉っぽく笑った。


「翔さんらしくないね(笑) いつもの俺様感はどこいったのさ」

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